アル=マグタス

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アル=マグタス (Al-Maghtas, アラビア語: المغطس‎) はヨルダンのバルカ県に残る考古遺跡で[1]、アラビア語で「洗礼」[注釈 1]を意味する。かつて洗礼者ヨハネが活動し、イエスの洗礼も行われたヨルダン川東岸の場所ベタニアと考えられており、遅くとも東ローマ帝国時代までには崇敬の対象となっていた場所である[2]。2015年に洗礼の地「ヨルダン川の向こう側、ベタニア」(アル=マグタス)の名で、UNESCOの世界遺産リストに登録された。

『地球の歩き方』のように、ベサニーと英語読みしている文献もある[3]。

概要[edit]

アル=マグタスは2つの主要な考古遺跡地区を含む[4][5]。すなわち、「エリヤの丘」( Jabal Mar-Elias) として知られる丘に残る修道院の遺構の区域と、聖堂、洗礼の池、巡礼者・隠者の住居などの遺構が残る川沿いの区域とである。その2箇所は、ワディ・カラール (Wadi Kharrar) と呼ばれる小川で繋がっている[6]。

エルサレムと王の道の間という交通の要衝としての位置づけは、イスラエル民族がそこからヨルダン川を渡ったとするヨシュア記の記述からもすでに明らかである。「エリヤの丘」は、預言者エリヤが生きたまま天に上げられた場所と伝えられている[7][8]。

アル=マグタス遺跡は、ヨルダン川両岸が前線となった1967年の第三次中東戦争以降、打ち捨てられていた。その地域にはかなりの地雷が敷設されたのである[9]。しかし、イスラエルとヨルダンの間で講和条約が締結された後、ヨルダンの王子ガージー・ビン・ムハンマド(英語版)主導で地雷の除去が進められ[10]、2010年代半ばまでですでに何度も発掘調査が行われており、観光客や巡礼者、さらにはローマ教皇などの要人も訪れている[11]。